くわん)” の例文
牛乳とか玉子とか草花の束ねたのとかを停車場ステエシヨンごとに女が売りに来る。私の机の上にも古いくわんに水を入れて差された鈴蘭の花があつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
組込くみこみの三きやくすゞくわんに、結晶けつしやうした酒精アルコールまつたのがつて、これ普通ふつう汽車中きしやちうかすうつわである。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其處らには赤くびたブリキのくわんのひしやげたのやら貧乏びんぼうとく利の底の拔けたのやら、またはボール箱の破れた切ツ端やら、ガラスの破片かけらやら、是れと目に付くほどの物はないが
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
まちの子はたはむれに空虚うつろなるくわんたたき
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
石油せきゆくわんを地にげてするどに泣けど
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)