酒宴しゅえん)” の例文
百姓は気狂きちがいのようにたける。それを仮借かしゃくなくズルズルと引きずってきて、やがて、大久保石見おおくぼいわみ酒宴しゅえんをしている庭先にわさきへすえた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何事かといぶかりつつも行きて見れば、同志ら今や酒宴しゅえんなかばにて、しゃくせるひとのいとなまめかしうそうどき立ちたり。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
五郎は福兵長と、興梠こうろぎという酒好きの二等兵曹をつれて、しばしば宿舎を抜け出て、酒宴しゅえんを開いた。アルミの食器に一号アルコールを半分ほど入れ、マッチで火をつける。
幻化 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
ロミオ 二はれいでもはなしませう。仇敵かたきいへ酒宴しゅえん最中さいちゅう、だましうちわしきずはしたものがあったを、此方こちからもはした。二人ふたりけたきず貴僧こなた藥力やくりきればなほる。
出発の前々夜、合宿引上げの酒宴しゅえんが、おわると、皆は三々五々、芸者買いに出かけてしまい、残ったのは、また、舵の清さん、七番の坂本さん、それと、ぼくだけになってしまいました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
王様はやぐらに上がって、大勢おおぜいの家来達と酒宴しゅえんをなされました。お城の門は表も裏もすっかり開け放されて、城下の人達が大勢はいって来ました。皆美しく着飾きかざって、お城の庭で踊りを致しました。
お月様の唄 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
およそ中津にて酒宴しゅえん遊興ゆうきょうさかんなる、古来特にこの時を以てさいとす。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
水夫等は甲板かんぱんにあつまって酒宴しゅえんをひらいた。片目で右眼が二倍の働きをするようにギロギロ光る水夫長のワルストンが、酒によっぱらって日ごろの不平をならべたてた。かれは海蛇うみへびのあだ名があった。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
いそいでつみこんだ上で、酒宴しゅえんをゆるすことにしましょう
火薬船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「せっかく、ご酒宴しゅえんのおまねきをうけましたが、まだ身分のさだまらぬ浪人境界ろうにんきょうがいで、出席はおそれおおいと辞退じたいしましたので、手まえの屋敷やしきにのこしてまいりました」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
酒宴しゅえんがはじまっているらしい。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そこへ、おそく酒宴しゅえんにまねかれた、菊池半助きくちはんすけ末席まっせきにすわった。隠密おんみつのものは、ろくは高いが士格しかくとしては下輩げはいなので、めったに、こういう席にしょうじられることはない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)