おくり)” の例文
白く輝く鸚鵡おうむかんざし——何某なにがしの伯爵が心をめたおくりものとて、人は知つて、(伯爵)ととなふる其の釵を抜いて、あしを返して、喫掛のみかけた火皿ひざらやにさらつた。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
さてそんならそのおくりものばかりで、人の自由になるかと云うと、そうではない。好きな人にでなくてはなびかない。
代助が真珠の指輪を此女におくりものにする時、平岡は此時計を妻に買つてつたのである。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
のべ村方感應院と申す山伏やまぶしが昨今病死びやうしし其弟子でしたう十四歳なる者五ヶ年間諸國修行しよこくしゆぎやうの願にて昨日出立につき村中よりせんべつつかはしたる金子は八兩貳あり此品々も跡々あと/\よりおくりものなり幼年にて多分たぶんの金子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
灰皿にも用いよう。がねがわくば、竜涎りゅうぜん蘆薈ろかい留奇とめきの名香。緑玉エメラルド、真珠、紅玉ルビイらせたい。某国なにがし——公使の、その一品ひとしなおくりものに使ってから、相伝えて、外国の註文が少くない。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
びん後毛おくれげを掻いたついでに、白金プラチナ高彫たかぼりの、翼に金剛石ダイヤちりばめ、目には血膸玉スルウドストンくちばしと爪に緑宝玉エメラルド象嵌ぞうがんした、白く輝く鸚鵡おうむかんざし——何某なにがしの伯爵が心を籠めたおくりものとて、人は知って
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)