見当けんたう)” の例文
旧字:見當
大使館たいしかん所在しよざいを、かれ明白めいはくにはらなかつた。勿論もちろん招待せうたい意味いみについても、明確めいかくなことはわからなかつた。しかし大凡おゝよその見当けんたうはわかつてゐた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
背後うしろうねつて切出きりだしたやうな大巌おほいはが二ツ三ツ四ツとならんで、うへはうかさなつて背後うしろつうじてるが、わし見当けんたうをつけて、心組こゝろぐんだのは此方こツちではないので
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
僕は又この河岸かしにも昔に変らないものを発見した。それは——生憎あいにくなんの木かはちよつと僕には見当けんたうもつかない。が、かく新芽を吹いた昔のみ木の一本である。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
医師を呼んでせても、病気のたちがわからないので、どう治療していゝか見当けんたうが附かない。彼等は皆、役にも立たぬ処方箋を書いて、二度目からは来なくなつてしまふのである。
クラリモンド (新字旧仮名) / テオフィル・ゴーチェ(著)
四五日目にちめ一人ひとり二人ふたりもあればいゝはうなので、道子みちこはそのころしきりひとうはさをする浅草公園あさくさこうゑん街娼がいしやうにならうと決心けつしんしたが、どのへんていゝのか見当けんたうがつかないので、様子やうすをさぐりに
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
どうも見当けんたうがちがつた 地きうぢやない 月に向つて走つてゐるらしいんだ‼
毛無森けなしのもりのきり跡あたりの見当けんたうです
『春と修羅』 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
しかしその又偉い詩人が短歌の形式を用ふるかどうかは幾分か見当けんたうのつかぬこともない。
又一説? (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
つてべい。方角はうがく北東きたひがしやりだけ見当けんたうに、辰巳たつみあたつて、綿わたつゝんだ、あれ/\天守てんしゆもり枝下えださがりに、みねえる、みづえる、またみねえてみづまがる、またひとみね抽出ぬきでる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
僕「それは驚くだけですよ。伯母をばさんには見当けんたうもつかないかも知れない。」
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)