若僧にゃくそう)” の例文
「折悪しゅう、ただ今、主人の御房は旅に出て不在でござりますし、さような若僧にゃくそうも見かけませぬゆえ、どうぞ御無用になされませ」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一昨年初めて参詣した時には、墓の所在ありかが知れないので寺僧に頼んで案内してもらった。彼は品の好い若僧にゃくそうで、色々詳しく話してくれた。
磯部の若葉 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
いやなかなか機鋒きほうするどい女で——わしの所へ修業に来ていた泰安たいあんと云う若僧にゃくそうも、あの女のために、ふとした事から大事だいじ窮明きゅうめいせんならん因縁いんねん逢着ほうちゃくして——今によい智識ちしきになるようじゃ
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
向うを、墨染すみぞめで一人若僧にゃくそうの姿が、さびしく、しかも何となくとうとく、正に、まさしく彼処かしこにおわする……天女の御前おんまえへ、われらを導く、つつましく、謙譲なる、一個のお取次のように見えた。
七宝の柱 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼は品のよい若僧にゃくそうで、いろいろ詳しく話してくれた。その話にると、その当時のこの磯部には浅野あさの家所領の飛び地が約三百石ほどあった。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
彼は都を知らない若僧にゃくそうだった。この北国の山や樹や田舎人いなかびとしか見ない眼には、まばゆいように二人のすがたや肌が美しく見えたらしい。——が、はっと気づいて
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
閑人ひまじんが、詮索せんさくしてみると、近ごろ、二人の若僧にゃくそうがそこに住んでいるのだと知れた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
男は善覚寺の若僧にゃくそうであった。