腹痛はらいた)” の例文
開けると用意に腹痛はらいたの薬だの頭痛の薬だの、是れは何んだとかって幾つもあるのだから、何処が悪いっても大丈夫で、ゆっくり御養生なさい
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
が見かけによらず声は優しかった。言うところを聴くと、采女の馬場おりきさんの家で当家のお糸さまが腹痛はらいたで苦しんでいる。
と、はじめのひとりがいうと、ほかのものたちは明るくわらって、兵太郎君の死んだまねや腹痛はらいたのまねのうまかったことを、ひとしきり話しあった。
(新字新仮名) / 新美南吉(著)
まづい洒落だが、それでも納得出来れば無いよりはましだ。丁度田舎者の腹痛はらいた買薬かひぐすりで間に合ふやうなものだから。
「いえ、彌吉は腹痛はらいたで、宵から自分の部屋に引つ込んで寢て居たといふぢやありませんか」
とめる處は是より少々せう/\ゆけば馬喰町と云處に旅籠屋はたごや多くあれば夫へ到りてとまり給へと挨拶あいさつなすに彼の僧は如何にもくるなる聲にて我は腹痛はらいた歩行事あゆむことかなはず願はくは板縁いたえんにても一夜を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
お前、この辺で、一つ、腹痛はらいたを起してくれや。なに、腹が痛い。そいつは困つたな。うん、辛抱できんか。待て、待て、そんなところでしやがんぢまつちやいかん。あそこまで歩け。
「そうよ、折角、あったかい酒を飲ませておいて、氷をぶッかけるような話だが、かかり合いじゃ仕方もあるめえ。どっち道、美味うまい物食いをした後にゃ、腹くだしか腹痛はらいたは通り相場だ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
腹痛はらいたはそれですぐなおりました。小悪魔はまた放して下さいとたのみました。
イワンの馬鹿 (新字新仮名) / レオ・トルストイ(著)
あたしはまたねえ、アファナーシイ・イワーノヸッチ、あなたがお腫物でき腹痛はらいたで、おかげんでも悪かつたのぢやないかと、お案じしてゐたんですよ。だつて、あんまりお見えにならないんですもの。
「我慢しろ。おめえが腹痛はらいたを起したのが悪いんだ」
曲亭馬琴 (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
咽喉のどれたか、腹痛はらいた
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
腹痛はらいた
宵のうちは旦那様、亥刻よつ(午後十時)から丑刻やつ(午前二時)までは和助、その後は暁方あけがたまで私が見張ることになっておりましたが、宵から腹痛はらいたを起して、何としても我慢がなりません。
まずおれはあいつに、腹痛はらいたを起させてやろうと思ってあいつのお茶の中に、唾を吐き込んでやった。それからあいつの畑を、石のようにかんかんに固めてき返しが出来ないようにしておいた。
イワンの馬鹿 (新字新仮名) / レオ・トルストイ(著)
みなこそこそいなくなったり急に腹痛はらいたを起こしたりするのがつねだった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
腹痛はらいた