きゃく)” の例文
そのへやは、カレンのベットと一きゃくのいすとが、やっとはいるだけの広さしかありませんでした。そこにカレンは、さんび歌の本を持っていすにすわりました。
部屋のすみに一きゃくのこわれかかった長イスがおかれ、その上に一枚の古毛布がまるめてあるほかには、道具らしいものは何一品ありません。まるで牢獄のような感じです。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
会議室は校長室のとなりにある細長い部屋で、平常は食堂の代理を勤める。黒い皮で張った椅子いすが二十きゃくばかり、長いテーブルの周囲にならんでちょっと神田の西洋料理屋ぐらいな格だ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
出発のときは、胴体から引込ひきこみ式の三きゃくをくりだして、これによって滑走かっそうした。そのとき、やはり胴体から水平翼すいへいよく舵器だきが引き出されて、ふつうの飛行機とどうように地上を滑走した。
怪星ガン (新字新仮名) / 海野十三(著)
わたしたちはばんまでレッド・ライオン・コートへ帰らなかった。父親と母親はわたしたちのいなかったことをなにも言わなかった。夕飯ゆうめしのあとで父親は二きゃくのいすをのそばへせた。
そうするうちにも、何人たれがどう世話せわしてくだすったのやら、すなうえには折畳おりたたみの床几しょうぎが三つほどえつけられてありました。しかもそのうちふたつは間近まじかい、の一きゃくすこさがって背後うしろほうへ……。
きゃくがよく締まらないのは、そりゃあ胴が太いからだろう?」
恐怖城 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
床の間のまえに、経机きょうづくえが一きゃくいてある。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
およそ二十きゃくほどの椅子がグルッと円陣をなして置いてあり、その中に、特に立派な背の高い椅子が一つあるが、その前にだけ、これも耶蘇教やそきょうの説教台のような背の高い机が置いてあった。
流線間諜 (新字新仮名) / 海野十三(著)