がへ)” の例文
またよしんば上原が望んだとしても、肝腎の縣のはうが、上原の推薦をきかず、志村を囑託とすることをがへんじなかつたとしたらどうだらう。
続生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
さればさしづめおあかの方は、一郎が母となりし訳なれど、稚きより剛気の一郎、なかなかこれを母と呼ぶをがへんぜず。
誰が罪 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
ところがお信さんは子供が可哀相だからといつて誰が何と説得を試みても、頑としてそれをがへんじないのだといふこと、お雪さんは自分に弱味があるので
乳の匂ひ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
文学といふ女神は、或は老嬢ヲールド・ミツスにて世を送ることあるも、卑野なる神に配することをがへんぜざるべければなり。
人生に相渉るとは何の謂ぞ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
人夫等岩崖をおほいで唯まゆひそむるあるのみ、心は即ち帰途にくにあればなり、此に於て余等数人奮発ふんぱつ一番、先づ嶮崖けんがい攀登はんとうして其のぼるを得べき事をしめす、人夫等なほがへんぜず
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
彼等ハ本国いぎりすノ国家ノ強ヒル宗教ヲ信ズルコトヲがへンゼザルナリ、制度ハ国ノ制度ヲ遵奉じゆんぽうセザルカラズトイヘドモ、信仰ハ自由也、国家ヨリ賦課セラルベキモノニアラズ。
叔齊しゆくせいまたつをがへんぜずしてこれのがる。國人こくじん其中子そのちうしつ。ここおいて、伯夷はくい叔齊しゆくせい(二五)西伯昌せいはくしやうらうやしなふとき、(曰ク)『なんいてせざる』と。いたるにおよんで西伯せいはくしゆつす。
社会主義の福音ふくいんは既に軍隊の内部に瀰漫びまんせんとしつゝあるを、平和主義の故を以て露国教会はトルストイを除名せり、然れ共今や学生の一揆、労働者の同盟罷工にむかつて進軍をがへんぜざる士官あり
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)