繩墨じようぼく)” の例文
新字:縄墨
この詩人の宗教は基督キリスト教を元としたる「愛」の信仰にして、尋常宗門の繩墨じようぼくを脱し、教外の諸法に対しては極めて宏量なる態度を持せり。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
わが審美の標準には過失もあるべく、わが論理の繩墨じようぼくには錯誤もあるべけれど、山房の論文豈理想の美を焚く火ならむや。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
道徳の府なる儒学も、平民の門をたゝくことは稀なりし、高等民種のうちにすら局促たる繩墨じようぼく覊絆きはんを脱するに足るべき活気ある儒学に入ることを許さゞりしなり。
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
申子しんし(一二五)卑卑ひひ(一二六)これ名實めいじつほどこす。韓子かんし(一二七)繩墨じようぼくいて事情じじやうせつに、是非ぜひあきらかにす、きはめて(一二八)慘礉さんかくにしておんすくなし。みな道徳だうとくもとづく。
繩墨じようぼく」彼れ何物ぞ、否な彼等も亦た宇宙の精神の大進歩の道程に於て、何等かの必要に需求せられて出でたるものなり、彼等も彼の唯心論の如く、彼の唯物論の如く、彼の凡神論の如く
頑執妄排の弊 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)