“紫陽花”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
あじさい69.9%
あぢさゐ24.3%
あぢさい2.9%
あじさゐ1.9%
しやうか1.0%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
淡紅色の紫陽花あじさいの一面に並んでいる壁面には、豪華な幕が張り廻らされ、三方に映り合った花叢はむらむらと霞の湧き立つような花壇であった。
旅愁 (新字新仮名) / 横光利一(著)
それはこの喫茶店に、露子という梅雨空つゆぞらの庭の一隅に咲く紫陽花あじさいのように楚々そそたる少女が二人の間に入ってきたからであった。
火葬国風景 (新字新仮名) / 海野十三(著)
がっくりと俯向うつむいたのが、腰、肩、蒼白あおじろつながって、こればかり冷たそうに、夕陽を受けた庭の紫陽花あじさいの影を浴びて
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おもい、外套ぐわいたうそでかぶると、またあをかげに、紫陽花あぢさゐはなつゝまれますやうで
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
空色の單衣に青磁色の帶は、紫陽花あぢさゐのやうな幽邃いうすゐな調子があつて、意氣好みのお秀が好きで/\たまらない取合せだつたのです。
併し、彼の妻から暑さを防いだものは、その頭の上の紫陽花あぢさゐ色に紫陽花の刺繍ししゆうのあるパラソル——貧しいをんなの天蓋——ではなかつた。
背後うしろから親仁おやぢるやうにおもつたが、みちびかるゝまゝにかべについて、紫陽花あぢさいのあるはうではない。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そして縁の柱によったまゝ、手水鉢てうずばちのそばの紫陽花あぢさいの葉をちぎってた嫂は、そこを通りすぎやうとした。
(新字旧仮名) / 素木しづ(著)
街路樹のベツドかと見えて、篠懸すゞかけの苗木が植ゑてあり、その間には紫陽花あぢさいなぞがさき亂れてゐた。
山陰土産 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
雪隱せちいんわきには、紫陽花あじさゐの花がせひよろけてさびしくいてゐた。花の色はもうせかゝツてゐた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
あふひ、紫陽花あじさゐがそのあたりにさき亂れてゐて、茶屋へゆくまでの小路も樂しかつた。
山陰土産 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
薔薇ばらも咲き、紫陽花しやうかも咲き、嘈々さうさうたる川の音絶えざれば、風さへいと涼けきに、人々も我も居心地こよなく好しと喜び合ひはすれど、しかも我が胸の何処かになほかくれたる一の心ありて、念々として、かのむさくるしかりし四畳半を追慕しやまず。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)