紫陽花あぢさい)” の例文
わしはうまくらにしてたのぢやから、つまり枕元まくらもと戸外おもてぢやな。しばらくすると、右手めて紫陽花あぢさいいてはなしたあたりで、とりばたきするおと
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そして縁の柱によったまゝ、手水鉢てうずばちのそばの紫陽花あぢさいの葉をちぎってた嫂は、そこを通りすぎやうとした。
(新字旧仮名) / 素木しづ(著)
街路樹のベツドかと見えて、篠懸すゞかけの苗木が植ゑてあり、その間には紫陽花あぢさいなぞがさき亂れてゐた。さすがにその邊までは大阪のやうな大きな都會を中心に控へた村々の續きらしくも思はれた。
山陰土産 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
戸外おもてあたか真昼まひるのやう、つきひかりひろげたうちへはら/\とさして、紫陽花あぢさいいろ鮮麗あざやかあをかつた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
背後うしろから親仁おやぢるやうにおもつたが、みちびかるゝまゝにかべについて、紫陽花あぢさいのあるはうではない。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)