つな)” の例文
いよいよ、運転士と水夫長が、伝馬船に乗りこむと、伝馬船をつってある滑車のつなに、みんなが取りついて、そろそろおろしはじめた。
無人島に生きる十六人 (新字新仮名) / 須川邦彦(著)
学識爵位を以て下民の尊敬を基督教につながんとするもの、会堂の壮大を以て信徒を増加せんとするものはみな基督の第二の誘惑に陥りしものにして
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
「壞血病がはやりました。何とか働ける者は、力のかぎり働かされました。そこでは船のつなが、トルコ人の鞭と同樣に、きびしく支配していました。」
つなを握って山のかどをのぼり、頭をあげて天の果てを眺めたのであった。(極北にて夜半に日を望む))
南半球五万哩 (新字新仮名) / 井上円了(著)
それが Brandブラント に於いて発揮せられている。イブセンは何の為めに習慣の朽ちたるつなを引きちぎって棄てるか。ここに自由を得て、身を泥土でいどゆだねようとするのではない。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
左の谷底から一本のつなが、私の胸の上をこすつて、右の谷底へズル/\と下りて行く。
Dream Tales (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
街の一端に近きポヽロの廣こうぢにつなを引きて、馬をば其うしろに並べたり。馬は早や焦躁いらだてり。脊には燃ゆる海綿をり、耳後には小き烟火具はなびを裝ひ、わきには拍車ある鐵板を懸けたり。
つなを曳くとスヰツチで豆電燈がつくのなぞが、その代表的なものだつた。
受験生の手記 (旧字旧仮名) / 久米正雄(著)
その火を、用意しておいたかれ草の葉、または、つなを毛のようにほぐしたものなどにうつして、いっそう大きな火種をつくった。
無人島に生きる十六人 (新字新仮名) / 須川邦彦(著)
そこで、まるい救命浮環うきわに、細い長いつなをつけて流してみると、岩の方へ流れる潮と波とに送られて、すぐに岩に流れついた。
無人島に生きる十六人 (新字新仮名) / 須川邦彦(著)