粘膜ねんまく)” の例文
さらつぎはしくちまで悠長いうちやう運動うんどう待遠まちどほ口腔こうかう粘膜ねんまくからは自然しぜんうすみづのやうな唾液つばいてるのをおさへることが出來できないほどであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
自分の身体の上に発見したそうだ。注射もせず、喫いも呑みもせぬのにどうして中毒が起ったか。その答は、たった一つある。いわく、粘膜ねんまくという剽軽者ひょうきんもの
ゴールデン・バット事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
風眼というものは人も知るごとく花柳病かりゅうびょう黴菌ばいきんが眼の粘膜ねんまくおかす時に生ずるのであるから検校の意は、けだしこの乳母がある手段をもって彼女を失明させたことをふうするのである。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「ごらんにならなかったでしょうか、あの婦人の口腔こうくうの中の変色した舌や粘膜ねんまくを。それから変な臭いのすることを。——あれだけのことがあれば、頓死とはいえませんよ」
流線間諜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
さうしてその揷入さうにふした酸漿ほゝづき知覺ちかくのないまでに輕微けいび創傷さうしやう粘膜ねんまくあたへて其處そこ黴菌ばいきん移植いしよくしたのであつたらうか、それとも毎日まいにちけぶりごとあびけたほこりからたのであつたらうか
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
粘膜ねんまくのやうにあかうるほひをつた二つの道筋みちすぢつたひてつめたくれたはなかれすゝりながら、はしよこへて汁椀しるわん鹽辛しほから干納豆ほしなつとうつまんでくちれたり茶碗ちやわんなかいたりして幾杯いくはいかのめしつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)