竹村たけむら)” の例文
「あいつはおれ財産ざいさん惹着ひきつけられてゐるんだ。」大久保おほくぼはいつかさうつてゐたけれど、竹村たけむらには其意味そのいみ全然ぜんぜん不可解ふかかいであつた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
階下したへ降りますと御飯から立つ湯気のが夜の家いつぱいに満ちて匂つて居ました。これは竹村たけむらと云ふ姉の家へ贈る弁当の焚出たきだしをして居るからなのでした。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
いま松野まつのてゝ竹村たけむらきみまれれにまれ、开所そこだめなばあはれや雪三せつざうきやうすべし、わが幸福かうふくもとむるとて可惜あたら忠義ちうぎ嗤笑ものわらひにさせるゝことかは
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
竹村たけむらは一ねんたつかたゝないうちに、大久保おほくぼかへつてたのに失望しつばうしたが、大久保おほくぼ帰朝きてうさびしかつたことも、すくなからずかれいたましめた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
さりとてれにもしたがひがたきを、なにとしてにとせば松野まつのこゝろまよひもめ、竹村たけむらきみ潔白けつぱくをもあかされん、何方いづれにまれくきひと一人ひとりあらば、くまでむねはなやまじを
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そして田舎ゐなかかへつてから、慇懃いんぎん礼状れいじやう受取うけとつたのであつたが、無精ぶしやう竹村たけむら返事へんじしそびれて、それりになつてしまつた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
おもふはれに定操ていさうければにや、ろきこゝろのやるかたもなし、さて松野まつの今日けふことば、おどろきしはわれのみならず竹村たけむら御使者おししやもいかばかりなりけん、立歸たちかへりてくなりしとも申さんに
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おゝそれよりはひとことひとこと藤本ふぢもとのならば智惠ちゑしてくれんと、十八にちくれれちかく、ものいへば眼口めくちにうるさきはらひて竹村たけむらしげき龍華寺りうげじ庭先にはさきから信如しんによ部屋へやへのそりのそりと
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)