空海くうかい)” の例文
霊仙は、興福寺の僧で、延暦二十二三年ごろ最澄さいちょう空海くうかいと共に入唐した。或はもっと早く宝亀年中だという考証もある。そして長く向うに居た。
ドナウ源流行 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
東寺は最御崎寺の事で、其処は四国巡礼二十四番の納経所になり、僧空海くうかいが少壮の時、参禅修法すほうした処であった。
海神に祈る (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
翰墨かんぼくの書は空海くうかい道風とうふうを去ること遠からず、佐理さりを四五年前に失ったばかりの時代の人であったのである。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
キリストもシャカも老子ろうし孔子こうし空海くうかい日蓮にちれん道元どうげん親鸞しんらんもガンジイも歩いた。ダヴィンチも杜甫とほ芭蕉ばしょうも歩いた。科学者たちや医者たちも皆よく歩いています。
歩くこと (新字新仮名) / 三好十郎(著)
されば、桓武天皇は、仏教の改革に御心を用ゐられてゐたが、あたかもよし、この時代に空海くうかい(弘法大師)最澄さいちよう(伝教大師)の二傑僧が現はれ、仏教自身、その宿弊を一掃した。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
まあ、わたしどもに言わせると、伝教でんぎょうでも、空海くうかいでも——みんな、黒船ですよ。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
空海くうかい道風どうふう佐理さり行成こうぜい——私は彼等のいる所に、いつも人知れず行っていました。彼等が手本にしていたのは、皆支那人の墨蹟ぼくせきです。しかし彼等の筆先ふでさきからは、次第に新しい美が生れました。
神神の微笑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
けれども人工であつたとしても、数百年間この事を他へ漏らさない一山いちざんの人々は偉いんです。やつぱり本物の鳥と思つてきくんですね。それが空海くうかいの徳でせう。
仏法僧鳥 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)