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かっこ
ふりがな文庫
“
確乎
(
かっこ
)” の例文
その信仰や極めて
確乎
(
かっこ
)
たるものにてありしなり。海野は熱し詰めて
拳
(
こぶし
)
を握りつ。
容易
(
たやす
)
くはものも得いはで唯、唯、
渠
(
かれ
)
を
睨
(
にら
)
まへ詰めぬ。
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼は働く能力を失い、一定の目的に向かって
確乎
(
かっこ
)
たる歩を運ぶの能力を失ってはいたが、しかし常にも増して明知と厳正とを持っていた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
一、死して後
已
(
や
)
むの四字は、言簡にして義広し。堅忍果決にして、
確乎
(
かっこ
)
として抜くべからざるものは、これを
舎
(
お
)
きて術なきなり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
こうした自覚をいだいて、大自然がおのれに課し与えた義務を果たそうとする者こそ、
確乎
(
かっこ
)
たる地盤のうえに立つ者と言うべきであります。
夢がたり
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
仕事を
厭
(
いと
)
うて嫌々植えたりしていては、苗も、
確乎
(
かっこ
)
と大地に根を張って、お
陽
(
ひ
)
さまの恵みをいっぱいに吸うて育つはずがない。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
また自分よりも
逞
(
たくま
)
しい骨格、強い意志、
確乎
(
かっこ
)
とした力を備えた男性という頼母しい一領土が、偶然にも自分に
依
(
よ
)
ってこの世界に造り出された。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
世の
嘲笑
(
ちょうしょう
)
や批難に堪えてゆけるだけの
確乎
(
かっこ
)
たるものはなかったが、どうかすると、彼はよく
昂然
(
こうぜん
)
と、しかし、低く
呟
(
つぶや
)
いた。
苦しく美しき夏
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
それは
克己
(
こっき
)
と、にもかかわらずとの生活であり、厳格な、
確乎
(
かっこ
)
とした、禁欲的な生活であって、かれはこれをせんさいな
ヴェニスに死す
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
「物」のみがもつ無心の
静謐
(
せいひつ
)
、
確乎
(
かっこ
)
たる不動の感覚、言葉のない、しかし有限な一つの暗い
充溢
(
じゅういつ
)
、無責任な物質の充溢だけに任しているのだ。……
煙突
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
三人は
猶
(
なお
)
語った。話は遂に一小段落を告げた。田中は今夜親友に相談して、明日か明後日までに
確乎
(
かっこ
)
たる返事を
齎
(
もた
)
らそうと言って、
一先
(
ひとま
)
ず帰った。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
偶然とは言いながらも是ほど
確乎
(
かっこ
)
たる基礎のある今日の新文明を、或いは
提督
(
ていとく
)
ペルリが
提
(
ひっさ
)
げてでも来たもののように、考える人さえあったのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
確乎
(
かっこ
)
たる自信が、あって、もっともらしい顔をして、おごそかな声で、そう言ったつもりなのであるが、いま考えてみると、どうしても普通でない。
春の盗賊
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
自分は幾度も鯨の本物を本場で見ている——という
確乎
(
かっこ
)
たる自信があるから、番兵さんの主張は、さすがの茂太郎も、
如何
(
いかん
)
ともすることはできない。
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
確乎
(
かっこ
)
たる
見込
(
みこみ
)
ありての事なり、未練らしう包み隠さずして、
有休
(
ありてい
)
に申し立ててこそ汝らが
平生
(
へいぜい
)
の振舞にも似合わしけれとありければ、
尤
(
もっと
)
もの事と思い
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
そしてとにかく彼は私なぞとは比較にならないほど
確乎
(
かっこ
)
とした、緊張した、自信のある気持で活きているのだということが、私を羨ましく思わせたのだ。
遁走
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
それはどこまでも地上に
確乎
(
かっこ
)
たる存在を占める安定な形や、幅や、重さや、強さを現わしているのであります。それに支那の文化の足跡は
遼遠
(
りょうえん
)
であります。
北支の民芸(放送講演)
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
そうすることによってこそ、初めて、人は誰をも
偽
(
いつわ
)
らぬ、誰にも
怯
(
おび
)
えぬ、真に
確乎
(
かっこ
)
とした、自律的な、責任のある行為を生むことができるようになるのだ——と。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
固
(
もと
)
より内心に
確乎
(
かっこ
)
たる覚悟があって述べる事でないんだから、顔だけはしかつめらしいが、述べる事の内容は、すこぶる
赤毛布式
(
あかげっとしき
)
に
縹緲
(
ひょうびょう
)
とふわついていたに違ない。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ともかく、冷たい近代性を真向にふりかざし、良い楽員を集めて鋼鉄の如き
確乎
(
かっこ
)
たる演奏を聴かせるのは心にくきことである(なお、ストララムは近年逝去した)。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
バーター・システムの取引を承知しておきながら、かの燻精を変質させて送りかえすとは、
片手落
(
かたてお
)
ちも
甚
(
はなは
)
だしい。われに
確乎
(
かっこ
)
たる決意あり。しっかり説明文をよこされよ”
毒瓦斯発明官:――金博士シリーズ・5――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼はこの方法によりて、春信が最終の制作を以て
確乎
(
かっこ
)
として安永元年また二年なりと断言せり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
確乎
(
かっこ
)
たる基礎を固め得たのは、中心人物たる居士が一歩々々刻苦して進んだ結果に外ならぬ。
「俳諧大要」解説
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
一つの
確乎
(
かっこ
)
とした正統文学形式であるということには、
先
(
ま
)
ず
何人
(
なんぴと
)
も疑う必要はないであろう。
新感覚派とコンミニズム文学
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
日本の女の第一の短所は
確乎
(
かっこ
)
たる自信のない点にある。だから彼等は西洋の女に比べていじけて見える。近代的の美人の資格は、顔だちよりも才気
煥発
(
かんぱつ
)
な表情と態度とにあるのだ。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
優しい一方とのみみえる萩乃の
性質
(
ひととなり
)
に、どこか
凜
(
りん
)
として冒すべからざるところの
仄
(
ほの
)
見えるのは、この、生前先生ののぞまれたとおりに、勇烈
確乎
(
かっこ
)
たる大精神が、この荒磯の襖とともに
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その人に
確乎
(
かっこ
)
たる覚悟があって身心を高潔に保つ人でなければ結婚後
或
(
あ
)
る動機のため品行が
忽
(
たちま
)
ち崩れて酒道楽や女道楽に
耽
(
ふけ
)
らないとも限りません。実際そういう人が世間に沢山あります。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
然るに我等夫婦は
此迄
(
これまで
)
医業を取るのみにて、農牧業に経験無きを以て、児輩及び知己親族より其不可能を以て思い
止
(
や
)
むべきを懇切に諭されたるも、然れども我等夫婦は
確乎
(
かっこ
)
と决心する所あり
関牧塲創業記事
(新字新仮名)
/
関寛
(著)
欲求は漠然にして不正確、希望は
確乎
(
かっこ
)
として正確である。あたかも男女間の思慕が初め欲求たる間は
不慥
(
ふたしか
)
なれど、
後
(
の
)
ち進みて婚約成立となりて初めて希望と化して、確実になるが如くである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
たとい諸君の目指す人間が、正真正銘間違いなしのこの事件の真っ黒星で、若林君の所謂仮想の怪魔人であるにしても、要するにそれは一つの推測で、
確乎
(
かっこ
)
たる証跡があるわけではなかろう。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
が、
確乎
(
かっこ
)
たる信条であります。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
その信仰や極めて
確乎
(
かっこ
)
たるものにてありしなり。海野は熱し詰めて
拳
(
こぶし
)
を握りつ。
容易
(
たやす
)
くはものも
得
(
え
)
いわでただ、ただ、渠を
睨
(
にら
)
まえ詰めぬ。
海城発電
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
脣
(
くちびる
)
を紫色にし、憤激の目付きをし、全身をこまかく震わし、そして目を伏せながらしかも
確乎
(
かっこ
)
たる声で、あえて市長に言った。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
何しても、単福の用兵には、
確乎
(
かっこ
)
たる学問から成る「法」があった。決して偶然な天佑や奇勝でないことは、誰にも認められたところであった。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
慣習は多くは古いものであるが、それとても不変常在のものではなかった。何か偶然の機縁で始まったことが、次第に
悦
(
よろこ
)
び迎えられて
確乎
(
かっこ
)
たる先例を作り得たのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
その
柔
(
やわら
)
かい筋肉とは無関係に、
角化質
(
かくかしつ
)
の堅い
爪
(
つめ
)
が短かく
尖
(
さき
)
の丸い
稚
(
おさ
)
ない指を
屈伏
(
くっぷく
)
させるように
確乎
(
かっこ
)
と並んでいる。
此奴
(
こいつ
)
の
強情
(
ごうじょう
)
!と、逸作はその爪を眼で
圧
(
おさ
)
えながら言った。
かの女の朝
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
なるほど戦局は
苛烈
(
かれつ
)
であり、空襲は激化の一路にあります。だが、いかなる危険といえども、それに対する
確乎
(
かっこ
)
たる防備さえあれば、いささかも
怖
(
おそ
)
るには足りないのであります
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
と田山白雲から尋ねられて、駒井が相当
確乎
(
かっこ
)
たる所信を以て、次のように答えました。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
自国の文化については何の
考
(
かんがえ
)
をも持っていなかったようである。特にこれを愛重する心は無かったようにも見られる。祖国の風土草木に対してもまた
確乎
(
かっこ
)
とした考はなかったようである。
仮寐の夢
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
私は小説というものを間違って考えているのであろうか、と思案にくれて、いや、そうで無いと打ち消してみても、さて、自分に自信をつける特筆大書の想念が浮ばぬ。
確乎
(
かっこ
)
たる言葉が無いのだ。
鴎
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「まだ早すぎる。
確乎
(
かっこ
)
たる報告が集らぬではないか」
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
攻撃の言葉は皮肉なれども中川には
確乎
(
かっこ
)
たる定見あり
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
そして同じ敵対国にたいしては、常に重きをなしているから無言の
防塁
(
ぼうるい
)
はつねに織田の後方を
確乎
(
かっこ
)
として
扶翼
(
ふよく
)
している。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
男はいわば相手の本心の底までも貫くような目つきでじっと彼をながめながら、おごそかな
確乎
(
かっこ
)
たる調子で答えた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
すればこの
仄
(
ほの
)
かな河明りにも、私が
曾
(
かつ
)
て憧憬していたあわれにかそけきものの外に、何か
確乎
(
かっこ
)
とした質量がある筈である——何かそういうものが、はっきり私に感じられて来ると、結局
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
と
確乎
(
かっこ
)
として、謂う時病者は
傲然
(
ごうぜん
)
たりき。
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と大原もまた
確乎
(
かっこ
)
たる意見あり。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
しかも武備はいよいよ強化され——ここに徳川家なる一国は、小国ながらも、領民と領主と、人と物と、さながら一体の強みを
確乎
(
かっこ
)
と
顕
(
あきら
)
かにして来た。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ところが男の
明晰
(
めいせき
)
確乎
(
かっこ
)
たる返答に出会って、その不思議な男はただ不思議なばかりで何らとらうべきところがないのを見た時、彼は自分の弱味を感じた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
どうしても、
確乎
(
かっこ
)
とした要害を占めて、腰をすえてかかるためにも、洲股に味方の一城が欲しいのであった。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ジャヴェルは橋の胸壁を離れ、こんどは頭をもたげて、シャートレー広場の片すみにともってる軒灯で示されている衛舎の方へ、
確乎
(
かっこ
)
たる足取りで進んでいった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
“確乎”の意味
《名詞》
確乎(かっこ 「確固」に「同音の漢字による書きかえ」がなされる)
しっかりして確かなこと。
(出典:Wiktionary)
確
常用漢字
小5
部首:⽯
15画
乎
漢検準1級
部首:⼃
5画
“確乎”で始まる語句
確乎不抜