いだ)” の例文
旧字:
かばかり堅固なるかこいの内よりそもいかにして脱け出でけん、なお人形のうしろより声をいだして無法なる婚姻をとどめしも、なんじなるか。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
其声それよりでかき声をいだして馬鹿めと罵りながら爲右衞門づか/\と立出で、僮僕をとこども此狂漢きちがひを門外に引き出せ、騒〻しきを嫌ひたまふ上人様に知れなば、我等が此奴のために叱らるべしとの下知
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
せて書斎に引籠ひきこもり机に身をば投懸なげかけてほつとく息太く長く、多時しばらく観念のまなこを閉ぢしが、「さても見まじきものを見たり」と声をいだしてつぶやきける。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
其声それよりでかき声をいだして馬鹿めとののしりながら為右衛門ずかずかと立ち出で、僮僕おとこどもこの狂漢きちがいを門外に引きいだせ、騒々しきを嫌いたまう上人様に知れなば、我らがこやつのために叱らるべしとの下知げじ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
執事は大助を彼方あなた一室ひとまへ案内し、はたと閉ざして立去りける跡に、大助は多時しばらく無事にくるしみつ、どうどうとしこを踏みて四壁を動かし、獅子のごとき力声をいだして、満腔の鋭気をもらしながら
金時計 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)