生存いきながら)” の例文
それだのに人猿と相伴なってボルネオの奥地に棲息し二十世紀の今日まで生存いきながらえていようとは正に世界の驚異である。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
さゝ、はやなしゃれ。生存いきながらへて、後日ごじつ自分じぶんは、狂人きちがひ仁情なさけで、あやふところたすかったとおひなされ。
相客といふのは、島華水、岡本橘仙、湯浅半月……といつたやうな、検校とは古馴染で、これまで幾度いくたびか平家琵琶を聞いて、無事に生存いきながらへてゐる程健康な人達だつた。
味気無き世に未練はもたねば物の見事に死んで退けて、十兵衞といふ愚魯漢ばかものは自己が業の粗漏てぬかりより恥辱を受けても、生命惜しさに生存いきながらへて居るやうな鄙劣けちな奴では無かりしか
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
ことに老人の傷処きずしょあらため見ればのどを一突にて深く刺れ「あっ」とも云わずに死せしとこそ思わるれ、曲者くせものの去りたる後まで生存いきながらえしとはみとむ可からず、笑の浮みしは実際にして又道理なり
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
味気なき世に未練はもたねばものの見事に死んで退けて、十兵衛という愚魯漢ばかものは自己が業の粗漏てぬかりより恥辱を受けても、生命惜しさに生存いきながらえて居るような鄙劣けちやつではなかりしか
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
総司は、良順の介抱によって、今日生存いきながらえているといってもよいのであった。
甲州鎮撫隊 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
もどれ、おろかななみだめ、もといづみもどりをれ。悲歎かなしみさゝぐるみつぎ間違まちがへて喜悦よろこび献上まゐらせをる。チッバルトがころしたでもあらうわがつま生存いきながらへて、わがつまころしたでもあらうチッバルトがんだのぢゃ。
カピ妻 とふのも、あの二心ふたごころ下手人げしゅにんめが生存いきながらへてをるからぢゃ。