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狭
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せ
ふりがな文庫
“
狭
(
せ
)” の例文
旧字:
狹
その一等端は桑畑になつて、そこいらまではどこか町中の通りらしく平坦な道路は、急に幅も
狭
(
せ
)
ばまり、石ころが路面に
露
(
あら
)
はれてゐた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
欅
(
けやき
)
のまあたらしい
飯台
(
はんだい
)
をとりまいて徳利をはや三十本。小鉢やら丼やら、ところも
狭
(
せ
)
におきならべ、無闇に景気をつけている。
顎十郎捕物帳:21 かごやの客
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
水平線が見る間に足の下になるかと、思うと、二、三分もしないうちに、谷から
狭
(
せ
)
ばめられた空を仰ぐように、下へ引きずりこまれていた。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
高野街道をすこし戻って、西へ入ると、山はいよいよ
狭
(
せ
)
ばみ、谷は深く、たそがれの
模糊
(
もこ
)
を探り探り、道とも見えぬような所ばかり分けて行くのだった。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
紙漉橋の袂に鉄砲垣を折り
回
(
めぐら
)
して、
生節
(
なまぶし
)
の冠木を見越しの
雑裁
(
うえごみ
)
の
林樾
(
こずえ
)
を深く(中略)春は塀外の桜、庭も
狭
(
せ
)
に散り込みて、打延る両岸の枝頭の色は大曲の
垠
(
はて
)
まで一目に
残余
(
なごり
)
無く
巣鴨菊
(新字旧仮名)
/
正岡容
(著)
▼ もっと見る
車夫
(
くるまや
)
に
鶴子
(
つるこ
)
を
負
(
おぶ
)
ってもらい、余等は
滑
(
すべ
)
る
足元
(
あしもと
)
に気をつけ/\鉄道線路を踏切って、山田の
畔
(
くろ
)
を
関跡
(
せきあと
)
の方へと上る。道も
狭
(
せ
)
に散るの歌に
因
(
ちな
)
んで、
芳野桜
(
よしのざくら
)
を沢山植えてある。
若木
(
わかき
)
ばかりだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
午食を使って間もなく、踏みぬいた
草鞋
(
わらじ
)
を
履
(
は
)
きかえた。次第に
狭
(
せ
)
ばまり細くなる流れを逆にさかのぼっていた。この尾根を越えてしまえば目ざしている土地に出ることが出来るであろう。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
弾
(
はじ
)
き
葉
(
ば
)
のあさみどりなる、内
紅
(
あか
)
く紫くろき、
層
(
かさ
)
厚く七重八重なる、葉牡丹は大いにうれし。牡丹とも見ずや葉牡丹、
値
(
ね
)
は
廉
(
やす
)
きその株ながら、株立つとこの庭も
狭
(
せ
)
に、豊かなり乏しともなし。
白南風
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
名にし負える荻はところ
狭
(
せ
)
く繁り合いて、
上葉
(
うわば
)
の風は静かに打ち寄する
漣
(
さざなみ
)
を砕きぬ。ここは湖水の
汀
(
みぎわ
)
なり。争い立てる峰々は残りなく影を
涵
(
ひた
)
して、
漕
(
こ
)
ぎ行く舟は遠くその上を押し分けて行く。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
色々の器械が
所
(
ところ
)
狭
(
せ
)
きまで詰め込んである。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
墓の道
狭
(
せ
)
ばめられたる参りけり
六百句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
道
(
みち
)
も
狭
(
せ
)
に
散
(
ち
)
る
八幡太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
その店先に、釣鈎や釣竿、
餌筥
(
えばこ
)
などをところも
狭
(
せ
)
にとりひろげ、ぬうとかけているのが顎十郎。所在なさに、とうとう釣りでもはじめる気と見える。
顎十郎捕物帳:04 鎌いたち
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
鬼無
(
きなし
)
、
国府
(
こくぶ
)
あたりから、ようやく、山近く
狭
(
せ
)
ばみ合ってくる。綾川の南の丘を指さして「鼓ヶ岡が見えます」と、川六の主人がいう。碑らしいものが冬木立の中腹に望まれる。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
路
(
みち
)
も
狭
(
せ
)
に高き
屋
(
や
)
づくり
音
(
おと
)
もなく
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
ところも
狭
(
せ
)
に置き散らしたなかに、下賤な面がまえの男女が五人ほどごろごろ寝ッ転がっている。
湖畔
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
物見車
(
ものみぐるま
)
、
所
(
ところ
)
狭
(
せ
)
きほどなり。若きも老いも、尼法師、あやしき
山賤
(
やまがつ
)
まで、(中略)おのおの目押し
拭
(
のご
)
ひ、鼻すすりあへる気色ども、げに憂き世の
極
(
きは
)
めは、今に尽しつる心地ぞする。〔増鏡〕
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
道も
狭
(
せ
)
にこぼれ
咲
(
さ
)
きたり。
第二海豹と雲
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
広縁の前に大きな植木棚があって、その上に、丸葉の、筒葉の、
熨斗
(
のし
)
葉の、
乱
(
みだれ
)
葉の、とりどりさまざまな
万年青
(
おもと
)
の鉢がかれこれ二三十、ところも
狭
(
せ
)
にずらりと置きならべられてある。
顎十郎捕物帳:02 稲荷の使
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
狭
常用漢字
中学
部首:⽝
9画
“狭”を含む語句
狭隘
狭間
狭田
広狭
身狭乳母
手狭
桶狭間
狭苦
狭斜
矢狭間
偏狭
所狭
狭量
幅狭
長狭
身狭刀自
狭屋
狭穂姫
狭過
狭野
...