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ものだね
ふりがな文庫
“
物種
(
ものだね
)” の例文
命あつての
物種
(
ものだね
)
と云ふ時にや、何も
彼
(
か
)
も忘れてゐるんだからね。芸術も
勿論
(
もちろん
)
忘れる筈ぢやないか? 僕などは大地震どころぢやないね。
続野人生計事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「冗談ではない——」と、
盧
(
ろ
)
は言った。「命あっての
物種
(
ものだね
)
だろうではないか。どこか無事な所へ着いて、ひとまず宿をとりたいのだが」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
所詮
(
しょせん
)
は
生命
(
いのち
)
さえも
危
(
あぶ
)
ないという恐ろしい
修羅場
(
しゅらじょう
)
になっておりますから「これでは、どうも仕方がない。生命あっての
物種
(
ものだね
)
だ。何もかも
抛
(
ほう
)
り出してしまえ」
幕末維新懐古談:14 猛火の中の私たち
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
『何を言っても命あっての
物種
(
ものだね
)
だ、』と大きな声で
独言
(
ひとりごと
)
を初めた、『どうせ自分から死ぬるてエなアよくよくだろうが死んじまえば命がねえからなア。』
郊外
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
その時ニラの大主は
是
(
これ
)
にこたえて、まだ
御初祭
(
おはつまつり
)
をしていないから
物種
(
ものだね
)
は出すことができぬと言ったというのは、すこぶる
我邦
(
わがくに
)
の
新嘗
(
にいなめ
)
の信仰とよく似ている。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
併しそんな悪戯はもう時代おくれで、天保以後の江戸の世界には、相当の
物種
(
ものだね
)
をつかって世間をさわがせて、蔭で手をうって喜んでいるような悠長な人間は少なくなった。
半七捕物帳:08 帯取りの池
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
命あっての
物種
(
ものだね
)
である。その生涯が満足な幸福な生涯ならば、むろん、長いほどよいのである。
死刑の前
(新字新仮名)
/
幸徳秋水
(著)
古来誰あって登ったという事のない危険山ですから、
如何
(
いか
)
に高い給料を出して
遣
(
や
)
るからといっても、
生命
(
いのち
)
あっての
物種
(
ものだね
)
、給料には
易
(
か
)
えられぬといって応ずる者がありません
越中劍岳先登記
(新字新仮名)
/
柴崎芳太郎
(著)
武士は
閃
(
ひら
)
りと體を
引外
(
ひつぱづ
)
し
然
(
さ
)
らば目に物見せんずぞ彼禪杖にて片端よりばらり/\と討倒せば雲助共は大に驚き
是
(
こ
)
は恐ろしき入道かな
命
(
いのち
)
有
(
あつ
)
ての
物種
(
ものだね
)
なり逃ろ/\と聲を
懸
(
かけ
)
後
(
あと
)
をも見ずに逃出すを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「しかし、そうむやみに勝っていいものかね。噂によれば、大勝ちしたら生きては帰れないともいうが、せっかく勝ったところでズドンなんてのは有難くないからね。なにしろ、命あっての
物種
(
ものだね
)
だ」
ノンシャラン道中記:04 南風吹かば ――モンテ・カルロの巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
物種
(
ものだね
)
をくれて腰かけ話し込み
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
客
菊池寛
(
きくちくわん
)
氏の説によると、我我は今度の
大
(
だい
)
地震のやうに命も危いと云ふ場合は芸術も何もあつたものぢやない。まづ命あつての
物種
(
ものだね
)
と
尻端折
(
しりはしよ
)
りをするのに
忙
(
いそが
)
しさうだ。
続野人生計事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
強く
云拔
(
いひぬけ
)
樣
(
やう
)
とても然樣
甘
(
うま
)
くは
欺
(
だま
)
されず是が
表向
(
おもてむき
)
になる時は文右衞門さんは
甚
(
はなはだ
)
御氣の毒だが御吟味中
入牢
(
じゆらう
)
トヾの
迫
(
つまり
)
は首がなし命あつての
物種
(
ものだね
)
なればサア/\殘りの金子を渡されよ
何
(
どう
)
だ/\と
責付
(
せめつけ
)
るを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
物種
(
ものだね
)
の袋濡らしつ春の雨
芭蕉雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
種
常用漢字
小4
部首:⽲
14画
“物”で始まる語句
物
物凄
物語
物憂
物識
物怪
物騒
物置
物音
物思