無類むるゐ)” の例文
令史れいしいへ駿馬しゆんめあり。無類むるゐ逸物いちもつなり。つね愛矜あいきんして芻秣まぐさし、しきりまめましむれども、やせつかれて骨立こつりつはなはだし。擧家きよかこれをあやしみぬ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ことわりければ當家に幼年えうねんの頃より奉公して番頭と迄出世しゆつせをなし忠義無類むるゐ世間せけんにて伊勢屋の白鼠しろねずみと云ひはやし誰知らぬ者も無き評判の久八は日頃より主人の吝嗇りんしよくなるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
併しお房は、父が無類むるゐ強慾がうよくにも似ぬ華美奴はでごのみであツたおかげに、平常ふだんにも友禪いうせんづくめで育ツてゐた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
以て訴訟うつたへにはなり難し何か工夫くふうありさうな事としばらく考へしが我等一ツの手段あり彦兵衞せがれ彦三郎と申者私し方へ參り正直しやうぢき無類むるゐの彦兵衞勿々なか/\ぬすみなど爲者なすものに非ず何故辯解いひわけ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
送りける故吝嗇りんしよく無類むるゐの五兵衞さへ萬端久八に任せ主人に代りて取扱とりあつかふ樣に成りけるに彌々いよ/\人々賞美しやうびして伊勢五の白鼠しろねずみと云れて店向の取締りをも爲すこととなりたりけり因て右捨子の次第を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)