無慘むざん)” の例文
新字:無惨
義兄の甚五兵衞を無慘むざんに殺して、その罪を甥の彦太郎になすりつけ、今度は專三郎を殺して、お筆を罪におとさうとした。
たてに受ると見えしが無慘むざんや女は一聲きやつとさけびしまゝに切下げれば虚空こくうつかんでのたうつひまに雲助又もぼう追取おつとり上臺がひざを横さまにはらへば俯伏うつふしに倒るゝ所を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
段々だん/\べへらして天秤てんびんまで仕義しぎになれば、表店おもてだな活計くらしたちがたく、つき五十せん裏屋うらや人目ひとめはぢいとふべきならず、また時節じせつらばとて引越ひきこしも無慘むざんくるまするは病人びやうほんばかり
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
崖の下から引揚げたばかりで、まだこももかけない與三郎の死骸が、折からのうらゝかな春の朝陽に照らされて、見るも無慘むざんな姿を横たへて居るではありませんか。
子爵ししやく寵愛ちようあいよりもふかく、兩親おやなきいもと大切たいせつかぎりなければ、きがうへにもきをらみて、何某家なにがしけ奧方おくがたともをつけぬ十六の春風はるかぜ無慘むざん玉簾たますだれふきとほして此初櫻このはつざくらちりかヽりしそで
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
致せ湯責ゆぜめ責水責鐵砲てつぱう海老えび熊手くまで背割せわり木馬もくばしほから火のたま四十八の責に掛るぞヤイ/\責よ/\との聲諸とも獄卒ごくそつ共ハツと云樣無慘むざんなるかな九助を眞裸まつぱだかにして階子はしごの上に仰向あふむけに寢かし槌の枕を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それが、今朝、無慘むざんな死骸になつて、自分の部屋の中に發見されたのでした。
其夜の明方あけがた無慘むざんあへなく御果成おんはてなされしにぞ澤の井は是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)