深刻しんこく)” の例文
結局金博士の智慧をめそうとした奴の蟇口の中身が空虚から相成あいなって、思いもかけぬ深刻しんこくな負けに終るのが不動の慣例だった。
ここにおいて我が地方的玩具の保護や製作を奨励しょうれいする意味が一層深刻しんこくになるのである。(大正十四年九月『副業』第二巻第九号)
土俗玩具の話 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
それ深刻しんこく印度いんど化物ばけものとはくらべものにならぬ。たとへば、ケンタウルといふ惡神あくしん下半身しもはんしんうまで、上半身かみはんしん人間にんげんである。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
胸中きょうちゅう深刻しんこくいたみをおぼえてから、気楽きらく悠長ゆうちょうな農民を相手あいてにして遊ぶにたえられなくなったのである。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
店から主人の言傳ことづてを持つて夜遲くやつて來ましたが、丁度、二人の妾お關とお吉の、深刻しんこく極まるむしり合ひの仲裁をして、用心棒代りに泊り込んだ晩の出來事だつたのです。
自分が深刻しんこくな命脈にはづれて、トルストイの冷刻れいこくにもならず、ドストイエフスキの熱刻ねつこくにも行かず、ただ淺い、淡い、なまぬるい感じと氣分とにぐらついてゐるのをおぼえる。
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
物凄ものすごかったり気味悪かったりする大分だいぶ深刻しんこくな怨みであって、それは秋の暮とでもいう心持にふさわしいであろうが、この選者を恨む歌の主の怨みはそれほど深刻ではなくって
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
「なに不景氣ふけいきかほさへしなければ、何處どこつたつて驩迎くわんげいされるもんだよ」と學友がくいう安井やすゐによくはなしたことがあつた。實際じつさいかれかほは、ひと不愉快ふゆくわいにするほど深刻しんこく表情へうじやうしめためしがなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
熱帶地方ねつたいちはう自然界しぜんかいきはめて雄大ゆうだいであるから、思想しさう自然しぜん深刻しんこくになるものである。そして熱帶ねつたい多神教たしんけうしんずるくにおいて、もつと深刻しんこく化物思想ばけものしさう發達はつたつしたといふことへる。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
破壊以前はかいいぜんが人なみよりもあたたかい歓楽かんらくんでおっただけ、破壊後はかいご悲惨ひさん深刻しんこくであった。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
お藤は思はず悲鳴を——いや悲鳴と言ふよりは、もつと深刻しんこくな、小さな叫びをあげました。
そのあいだ、さすがのX号も、深刻しんこくな顔つきになって今にも脳貧血のうひんけつを起こしそうになった。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
自分は親のない寂しさも、きょうこの村へはいりかけて、はじめて深刻しんこくに感じたのだ。
落穂 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
佐渡屋をめぐる情事と、罪悪と、因縁とは、思いのほかの深刻しんこくなものがありそうです。
初等インチキというのを見廻みまわすと、中村徳三郎氏の「麻雀防弊ぼうへい」に於て示されたような外国で行われる深刻しんこくきわまりなきインチキに比較して、いかにもアッサリした、コソ泥的どろてきとも言え
麻雀インチキ物語 (新字新仮名) / 海野十三(著)
佐渡屋をめぐる情事と、罪惡と、因縁とは、思ひの外の深刻しんこくなものがありさうです。
「こんどは、なかなか深刻しんこくなところへ案内いたします」
ふしぎ国探検 (新字新仮名) / 海野十三(著)
喉佛をヒクヒクと鳴らして、深刻しんこく嗚咽をえつがこみ上げて來たのでした。
二人の爭ひは深刻しんこくで無殘でした。