機會をり)” の例文
新字:機会
つまたゞ一人ひとりあにであれば、あたことならみづか見舞みまひもし、ひさしぶりに故山こざんつきをもながめたいとの願望ねがひ丁度ちやうど小兒せうにのこともあるので、しからばこの機會をりにといふので
「ぢや、鹿爪しかつめらしくすのもなんだかめうだから、其内そのうち機會をりがあつたら、くとしやう。なに其内そのうちいて機會をり屹度きつとるよ」とつてばして仕舞しまつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
最初はできるだけ機會をりを外すもんだよ。外すさへすりや、もう汚らはしいことを一字アキなくなると思ふの。ところが、ほら此麼ところにゐると毎日いろいろなことを見るでせう。
蒼白き巣窟 (旧字旧仮名) / 室生犀星(著)
「お雪の父親の紋三郎を殺したのは、林三郎の仕業だよ、お雪は多分母親からそれを聽いて居たのだらう。林三郎が徳右衞門の番頭になつて入ると、三年の間機會をりを待つたのだ」
女子をなごさかりは十年ととせとはなきものになるに、此上こよなき機會をりを取りはづして、卒塔婆小町そとばこまち故事ふるごとも有る世の中。重景樣は御家と謂ひ、器量と謂ひ、何不足なき好き縁なるに、何とて斯くはいなみ給ふぞ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
夫人はわれと杯を打碰うちあはせて、意味ありげなる目を我面に注ぎ、これをさばや、よき機會をりのためにと云ふに、我友點頭うなづきてげに好機會は必ず來べきものぞ、屈せずして待つが丈夫ますらをの事なりと云ふ。
機會をりがなくて愚圖々々して居るうちに、多見治の方がお吉を殺してしまつたと聽いて、江戸へ引返すと見せて、戸塚から引返し、片瀬の宿で、醉つ拂つた多之助に仕掛けをしてくびり殺し