来客らいかく)” の例文
旧字:來客
来客らいかくの目覚しさ、それにもこれにも、気臆きおくれがして、思わず花壇の前に立留まると、うなじからつまさきまで、の葉も遮らずかっとして日光した。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
例へば食事時分に来客らいかくのありし時など、何も来客に食事を与ふる義務なし、自分だけ飯を喰つて用件を聴けば足れり。
警戒すべき日本 (新字旧仮名) / 押川春浪(著)
江戸には雪のふらざる年もあれば、初雪はことさらに美賞びしやうし、雪見のふね哥妓かぎたづさへ、雪のちや賓客ひんかくまねき、青楼せいろうは雪を居続ゐつゞけなかだちとなし、酒亭しゆていは雪を来客らいかく嘉瑞かずゐとなす。
或日、老僕ろうぼく、先生の家に至りしに、二三の来客らいかくありて、座敷ざしきの真中に摺鉢すりばちいわしのぬたをり、かたわらに貧乏徳利びんぼうとくり二ツ三ツありたりとて、おおいにその真率しんそつに驚き、帰りて家人かじんげたることあり。
実はな、ちょと私用で外出をいたしおりましたが、俗にかの、虫が知らせるとか申すような儀で、何か、心急ぎ、帰宅いたしますると、門口に車がごわりまして、来客らいかくかと存じましたれば、いや
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)