ぐも)” の例文
「みどり児の乳乞ちこうがごとく、あまつ水仰ぎてぞ待つ、あしひきの山のたをりに、の見ゆるあまの白雲、海神わたつみの沖つ宮辺みやべに、立ち渡りとのぐもり合ひて、雨も賜はね」
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
うすぐもった、かぜさむ午後ごごのこと、この貧乏人びんぼうにん霊魂れいこんは、棺屋かんやまえをうろついていました。
町の真理 (新字新仮名) / 小川未明(著)
夕方からとのぐもって星のない夜。
面隱おもがくし、——うはぐもりして
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
このゆるくもほびこりてとのぐもあめらぬかこころだらひに 〔巻十八・四一二三〕 大伴家持
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
青々あおあおとした常磐木ときわぎが、うすぐもったそらに、かぜかれて、さやさやとずれがしています。よわひかりは、物悲ものかなしそうに、したや、建物たてものや、そののすべてのもののうえらしていました。
雪の上のおじいさん (新字新仮名) / 小川未明(著)