忙殺ばうさつ)” の例文
嫁入よめいり支度したく忙殺ばうさつされるのみならず、屹度きつと貧殺ひんさつされるだらうとかはなしになると、子供こどものない宗助そうすけみゝには夫程それほど同情どうじやうおこなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
東隣ひがしどなり主人しゆじんにはには村落むらもの大勢おほぜいあつまつておほきな燒趾やけあと始末しまつ忙殺ばうさつされた。それでその人々ひと/″\勘次かんじにはさうとはしなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
演壇の右側には一警視の剣をきて、弁士の横顔穴も穿けよとにらみつゝあり、三名の巡査はして速記に忙殺ばうさつせらる
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
といつておしな獨斷どくだん決行けつかうするのにはあま大事だいじであつたのである。さうしてそれは決定けつていされる機會きくわいもなくて夫婦ふうふ依然いぜんとして農事のうじ忙殺ばうさつされてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)