彌次馬やじうま)” の例文
新字:弥次馬
火事くわじをみて、火事くわじのことを、あゝ火事くわじく、火事くわじく、とさけぶなり。彌次馬やじうまけながら、たがひこゑはせて、ひだりひだりひだりひだり
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
『そ、そんなにつよいのですか。』と彌次馬やじうま士官しくわん水兵すいへいわれも/\とやつてたが、成程なるほど武村たけむらすね馬鹿ばかかたい、みな一撃いちげきもと押倒おしたをされて、いたい/\と引退ひきさがる。
しかも敵は益々えるばかりである。何処いずこも同じ彌次馬やじうまが四方からあつまって来て、警官や忠一等に声援を与えた。其中そのうちに長い梯子はしご持出もちだして来る者もあった。塚田巡査は靴を脱いで屋根に登った。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
彌次馬やじうまなんざ、こんな不景氣ふけいきな、張合はりあひのないところには寄着よりつきはしないので、むらがつてるもののおほくはみなこのあたりの廣場ひろばでもつて、びしよ/\あめだからたこ引摺ひきずつてた小兒等こどもらで。
迷子 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)