くす)” の例文
ねがはくは正しき審判さばき星より汝の血の上に降り、くすしく且つ顯著あらはにて、汝の後をくる者恐れをいだくにいたらんことを 一〇〇—一〇二
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
汝らは聖書に『造家者いえつくりらの棄てたる石は、これぞ隅の首石おやいしとなれる。これ主によりて成れるにて、我らの目にはくすしきなり』
◯九節において星辰界せいしんかいの神秘を述べたるヨブは、十節においてはさらに進みて「大なることを行い給うこと測られず、くすしきわざを為し給うこと数知れず」
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
きさしたる炭の半ば紅なるが、媼の座のほとりにちりぼひたるは、妖魔の身邊に引くといふくすしきとも看做みなさるべし。まことに是れ一幅クロトの活畫像なり。
あなかしこ、不尽の高嶺は日の本の鎮めの高嶺、神ながらくすしき高嶺、この高嶺まれに仰ぎてこの朝新あしたあらたにぞ見て、この我や、ただこの妻と、ただ得も云へず涙しながる。
思へばくすしき成行であつた。彼は今、天人共にゆるさざるる、罪の犯人として遠く東京へ送られるのである。やがては死刑を宣告されて、絞首台の露ともなることであらう。
逆徒 (新字旧仮名) / 平出修(著)
皇后が、天平てんぴょうの美と信仰を代表さるる花華はなとして仰がれていた証拠でもあろうか。かようにくすしく美しい伝説のまつわっておらるる方は、わが国史でも皇后以外にはない。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
谷川の川辺のいわお、かむさぶる木々の叢立むらだち、めづらしと見したまはむ、くすしともめでたまはむ。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
相馬も将門まさかどにゆかりあり、秩父も将門にゆかりある地なるなど、いよいよくすし。
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
現在かたきの家に来て、自分たちが知らず識らずその事実上のあるじのようなところに置かれているのに、当の主人は行方ゆくえが知れぬその因縁のくすしきことを思うと、お松は泣きたくなります。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
くすしき舞を軽らかに舞ひめぐれかし。
くすしきにほひ焔のずゐをまとふ。
我はくすしき物ありてわが目をこれにけるところに着きゐたり、是においてかわが心の作用はたらきをすべて知れる淑女 二五—二七
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
あなかしこ、不尽の高嶺は日の本の鎮めの高嶺、神ながらくすしき高嶺、この高嶺まれに仰ぎてこのあしたあらたにぞ見て、この我や、ただこの妻と、ただ得も云へず涙しながる。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
浮べて世にもくすしき高坏たかつきこそ
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
讀者よ、くすしき戲れを聞け、彼等みな目を片側かたがはにむけたり、しかも第一にかくなせるは彼等の中ことにその心なかりしものなりき 一一八—一二〇
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
天地あめつちひらけしはじめ、成り成れる不尽ふじ高嶺たかねは、白妙のくすしき高嶺、駿河甲斐二国ふたくにかけて、八面やおもてに裾張りひろげ、裾広に根ざし固めて、常久に雪かつぐ峰、かくそそり聳やきぬれば
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
汝はいづれの天も、その天使と——即ち大いなるは優れると、小さきは劣れると——くすしく相應ずるを見む。 七六—七八
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
おとくすしきと光の大いなるとは、その原因もとにつき、未だ感じゝことなき程に強き願ひをわが心にもやしたり 八二—八四
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
あゝ身を麗しうして己が造主つくりぬしに歸らんため罪を淨むる者よ、汝我にともなはばくすしき事を聽くをえむ。 三一—三三
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
(即ち路をあやまれるため、信心深きテルラの祈りによりてジョーヴェのくすしき罰をうけ、燒盡されし日の車なり)
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
我見しに中にはおそろしき蛇の群ありき、たぐひいとくすしく、その記憶はいまなほわが血を凍らしむ 八二—八四
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
されど未だかくくすしき笛にあはせて歩騎動き、くがまたは星をしるべに船進むをみしことあらじ 一〇—一二
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)