埃及エヂプト)” の例文
訳者が十分原語に通暁つうげうしてゐなかつたし、殊に埃及エヂプトやシリヤの方言はうげんなどを全く知らなかつた為に、うらむらくは所期の点に達し得なかつた。
先づ印度インドに赴いて其れから埃及エヂプト希臘ギリシヤを巡遊して歸國すると云ふ事である。春子はどうしたのであらう。遂に音信たよりがない………。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
恐しき巽風シロツコもぞ吹く。若しその熱き風胸より吹かば、中なる鳥の埃及エヂプト人の火紅鳥フヨニツクスならぬが、焦がれじにするなるべし。
この一刹那に、この女優がかつて舞台にのぼした事のある沙翁さおう劇の女主人公、埃及エヂプトの女王クレオパトラの最後が、強い暗示として閃かなかつたと誰が言ひ得よう。
不気味と云へば倫敦ロンドンの博物館の数室で見た埃及エヂプト木乃伊みいらの幾十体の方が何程どれほど不気味であつたか知れない。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
尤も埃及エヂプトでは猫と同じやうに犬を尊んで川の神と祀つて、恰度ナイルの氾濫時分にシリヤス星が見えるので、此星を犬星ドツグスターなづけて犬を星の精だといつたものださうな。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
埃及エヂプトカイロー博物館にある、王アメノフイス四世が児を抱いて接吻しようとしてゐる、細部が見えなくなつた石の彫刻も僕の注意をいた。王も児も裸形のやうに見える。
接吻 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
而して其湿ほすところはナイル河の埃及エヂプトに於けるが如くに、我邦の平民社界を覆へり。
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
埃及エヂプトのミイラに巻ける
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
げに埃及エヂプトの尖塔にも劣らぬ高さなり。かしこにぢしむるにはきもだましひ世の常ならぬ役夫を選むことにて、あらかじめ法皇の手より膏油の禮を受くと聞けり。姫。
余は深く腕を組みて、考古学者が沙漠に立つ埃及エヂプト怪像スフインクスを打仰ぐが如く、黙然として其の姿を打目戍うちまもり候。
夜あるき (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
むかしむかし、埃及エヂプトにアマアシスといふ王様があつた。王様にしておくのは勿体ない程の物識ものしりで、数多い学者のなかには、この人のお蔭になつたのも少くはなかつた。
土耳其トルコ人に聞けば伊太利イタリイが結局はまけると云ひ、伊太利イタリイ人に聞けば其れと反対な事を云つて居る。カイロまでいとまの無い旅客りよかくの為に埃及エヂプト土産を売る商店が幾軒もある。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
はるかなる国にしありき埃及エヂプトのニルの河べに立てるけふかも
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
埃及エヂプトの野の朝ゆふに
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
僕等は埃及エヂプト模様の粗樸そぼくおもむきのあるきれを数枚買つた。絵葉書屋へはひると奥まつた薄暗い一室ひとまへ客を連れ込んで極端な怪しい写真を売附けようとするので驚いて逃げ出した。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
(希臘傳説に見えたる埃及エヂプト王の名なり。前十四五紀の間の名ある王二人の上を混じて説けり。)客人まらうどには現世の用事あり。かしこにわかき貴婦人の敵手あひてなくて寂しげなるあり。