こり)” の例文
藤右衛門はつやつやとした竹の肌に眼をやりながら、肩から背すじへかけて綱をとおしたようなつかれのこりをかんじた。
日本婦道記:松の花 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「漆検校の門弟佐の市、それは大した者だ、噂は聞いて居る、肩のこりの取れるようなのを一本やって貰おうか」
禁断の死針 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
是は気のこりでございましょうか、と云うと、イヤうでない是は面疔めんちょうに相違ないなどゝ云うが、それは全く見立違みたてちがいで、只今の様に上手なお医者はございません時分で
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
たちたまひたり是によつて御列座も皆々退參たいさんと相成りければ跡に越前守只一人のこり手持てもちなき體なりしが外にせんすべもなくて凄々すご/\として御役宅を立ち去り歸宅せられしが忠義にこりなる所存を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
西洋にては声なき詩の色あるを絵と云い、景なき絵の魂こりしを彫像と云う程たっとむ技をわれ、ミチエルアンジロにもやはか劣るべき、仮令たとい令嬢の夫たるとも何の不都合あるべきとは云え
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
仕着せ、まきもの、配りもの、飾りもの、ありきたりなこりようではなかった。
(体)……すき……こり……たるみ
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして首を捻曲ねじまげたり肩を揺上げたり、両腕を振廻したりして、暫く筋肉のこりをほぐしてから、ふと思出したように旅嚢を引寄せ、乾したなつめの実を二つ三つ取出して口へ入れた。
松風の門 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
亥「小市さん誠にお蔭様で肩のこりなおりました」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
相續爲る御身ゆゑ學問にこり夜歩行よあるき一ツなさらざるもさうなくてはかなはねどとは言へ善惡二つながらおあんなさるは親御のつねましてや外にお子とてなき和君あなたが餘り温順おとなしすぎし病氣でも出はせぬかとお案じなされて玉くしげたに親樣おやさまが此忠兵衞を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ついてゐたりしが一個點頭此方に向ひ能くおよぐ者はおぼるゝとやら平常へいぜいよりして女ぎらひで學問にのみおこりなさるゝ和君あなたが計ず見染れば思ひの程も又つよは然ながら夫程まで御執心ごしふしんなる女兒をなごなら假令たとへ旦那樣御夫婦が何と仰が有らうとも此管伴このばんたうが引受て急度きつと和君の思ひを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)