使つこ)” の例文
それから俺を使つこうて、あげな非道ひどい事をさせたに違わん。俺は今朝けさ、気が付いてから色々考えとるうちに、やっとわかったんじゃ。
オンチ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
なあに、相手に誠意なかったら何ぼこんなもん書かしても反古ほうぐと同じですよって、お役に立つのんならどうぞ持って行って使つこて下さい。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「これを使つこたら」と、またひたへに皺を出して、「あたいの食べるお米が買へないだろ?」
泡鳴五部作:01 発展 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
本意ほいなう死んだ姉が、気の毒でいとしうて、うちなど、どないなってもかめへん、いつまでも離れんといて、思うとおりにうちの身体使つこて、仕残したことをなんなりやったらええ
姦(かしまし) (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
東京の商人に聞いてみると、金を持っている人には商売はできない、金のないものが人の金を使つこうて事業をするのであると申します。純粋の事業家の成功を考えてみまするに、けっして金ではない。
後世への最大遺物 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
そいで綿貫にはこないこないの噂あるのん幸いにこないな人道具に使つこてる、そないした方が家けるのんにも工合ええさかいいうてなさったのんですが
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「そんなに使つこたら、あとで困るぢやないか」
そのしみのあとつめながら、まだ何や知らん夢みてるみたいにぼんやりしてましてん。夫にどないいい訳しょう。この部屋使つこたこといおか知らん。いわんとこか知らん。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
使つこてます、一向に色は白うなれしまへんどすけど」
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)