不敵ふてき)” の例文
問はゞ左りへあやなし越前とやらめい奉行でも何のおそるゝ事やあらんと高手たかて小手こていましめの繩のよりさへ戻す氣で引れ行くこそ不敵ふてきなれ。
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
二十面相はあくまで不敵ふてきです。そういいながら、目を細くして探偵の顔を見つめ、さもおかしそうに大声に笑いだすのでした。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
秀吉公ひでよしこう威勢いせいをもおそれず、都へりこんでくるとは、不敵ふてきなやつ。この呂宋兵衛の手並てなみにもこりず、わざわざ富士ふじ裾野すそのから討たれにきたか
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かのもの不敵ふてきのものなれば(中略)そのところををしへたまへ。のぞみをかなへまゐらせんと、あとにつきていそぎゆく。
案頭の書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
は、強情がうじやう不敵ふてきやつ。さて、入替いれかはつて按摩あんまがシツペイのばんると、つてぼんはらひにありつきました、と白銀はくぎんまい頂戴ちやうだいことめてかゝつて
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
相当うでの立つ近江之介殿をあッと言う間に文字通り首にしたばかりか、大胆だいたんといおうか不敵ふてきと言おうか、城中番所の窓から抛り込んでおいて逐電ちくでんした喬之助のやつ
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
しかし突然とつぜん次郎君は走るのをやめてしまいました。まけたってかまやしない、どうともなれという不敵ふてきな気持ちになってしまいました。そしてのそのそと歩きはじめました。
決闘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
彼女は癌腫の様な石山新家を内から吹き飛ばすべき使命を帯びて居るかの様に不敵ふてきであった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
黄門光圀卿くわうもんみつくにきやう明察めいさつ見露みあらはし玉ひお手討に相成あひなりける然るに紋太夫に一人のせがれあり名を大膳だいぜんと呼べり親紋太夫の氣を受繼うけつぎてや生得しやうとく不敵ふてき曲者くせものなれば一家中に是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あの者は、源氏閣げんじかくの上より逃亡とうぼうして、そのゆくえ知れずになっていた咲耶子さくやこという不敵ふてきな女、ことに、浜松城はままつじょうし立てることになっている罪人ざいにんじゃ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
知ずやと仰せ有ければ流石さすが不敵ふてきの段右衞門もたゞ茫然ばうぜんとして暫時しばらく物をも言ず俯向うつむきて居たりしが何思ひけんぬつくと顏をあげ今迄いままでつゝみ隱せし我が惡行あくぎやう成程穀屋平兵衞を殺害し金子百兩を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
不敵ふてきないびきの声がする。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)