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だいづ
勘次は
畦間を
作りあげてそれから
自分も
忙しく
大豆を
落し
初めた。
勘次は
間懶つこいおつぎの
手もとを
見て
其の
畝をひよつと
覗いた。
鳥渡申上候昨日は御
馳走に
預り
忝けなく奉存候
然者先日御相談致し候
穀物の儀江戸表へ
相廻し申候明後日は
關宿庄右衞門殿方へ
穀代金勘定に參り申候
粕壁の代金八十兩也
大豆の
爲替に仕つり候
只今御受取可被下候
先は右の段申上度
如此御座候以上
彼が
大豆を
引いて
庭に
運んだ
頃はまだ
暑い
日が
落付いて
毬の
割れ
始めた
栗の
木の
梢から
庭をぢり/\と
照して
居た。
「
大概解り
相なもんぢやねえか、こんなざまぢや
種ばかし
要つて
仕やうありやしねえ」
勘次は
後を
呟いた。
隣の
畑に
此も
大豆を
蒔いて
居た
百姓は
駈けて
來た。