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しろかべちょう
笠森のおせんだと、
誰いうとなく
口から
耳へ
伝わって
白壁町まで
往くうちにゃァ、この
駕籠の
棟ッ
鼻にゃ、
人垣が
出来やすぜ。のう
竹
お
城の
松も
影を
曳きそうな、
日本橋から
北へ
僅に十
丁の
江戸のまん
中に、かくも
鄙びた
住居があろうかと、
道往く
人のささやき
交す
白壁町。
「いいや、それはなりません。お
上さんは、
確に
持ってお
出なされたはず。もう一
度手前と一
緒に、
白壁町のお
宅へ、お
戻りなすって
下さりませ」