産褥の記さんじょくのき
わたしは未だ病院の分娩室に横になつて居る。室内では夕方になると瓦斯暖炉が焚かれるが、好い陽気が毎日つづくので日のある間は暖い。其れに此室は南を受けて縁に硝子戸が這入つてゐるから、障子を少し位明けて置いても風の吹込む心配は無い。唯光線がまぶし …