或る秋の紫式部あるあきのむらさきしきぶ
時 寛弘年間の或る秋 処 京の片ほとり 人 紫式部三十一二歳 老侍女 妙な美男 西向く聖 (舞台正面、質素な西の対屋の真向き、秋草の生い茂れる庭に臨んでいる。その庭を囲んで矩形に築地垣が廻らされているが、今は崩れてほんの土台の型だけ遺ってい …