バラルダ物語バラルダものがたり
俺は見た 痛手を負へる一頭の野鹿が オリオーンの槍に追はれて 薄明の山頂を走れるを ——あゝされど 古人の嘆きのまゝに 影の猟人なり 影の野獣なり 日照りつゞきで小川の水嵩が——その夕暮時に、この二三日来の水車の空回りを憂へたあまり、蝋燭の …