宿内のともの町、久保くぼ武居たけいあぶない、事急な時は高木大和町たかぎやまとちょうまでも焼き払い、浪士らの足だまりをなくして防ぐべき諏訪藩での御相談だなぞと、だれが言い出したともないような風評がひろがった。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)