壽阿彌はもと江間氏で、其家は遠江國とほたふみのくに濱名郡舞坂から出てゐる。父は利右衞門、法諡ほふし頓譽淨岸居士とんよじやうがんこじである。過去帳の一本は此人を以て十一代目五郎作としてゐるが、配偶其他卑屬を載せてゐない。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)