きつねにつままれたような心持で、藤沢の宿しゅくに入ると、旅籠はたごだけは思い切り弾んで、長尾屋長右衛門ながおやちょうえもんの表座敷を望んで通して貰いましたが、足を洗って、部屋に通ると、懐中ふところへ手を入れた平次は