Mの次のへ引きとったのち、僕は座蒲団ざぶとんを枕にしながら、里見八犬伝さとみはっけんでんを読みはじめた。きのう僕の読みかけたのは信乃しの現八げんぱち小文吾こぶんごなどの荘助そうすけを救いに出かけるところだった。
海のほとり (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)