逶迤ゐい)” の例文
或夜バルタザアルが塔の上であの不思議な星を眺めてゐた時に、ふと眼を地上に転ずると、蟻の群の様に一条の黒い長い線が沙漠の遠いはてに逶迤ゐいとしてうねつてゐるのが見えた。
バルタザアル (新字旧仮名) / アナトール・フランス(著)
地平線の上は水に煙つてゐて、はつきりとした物が見えないが、その上の方に遠く青空を支へて湖東から湖北の天を繞らしてゐる山のすがた逶迤ゐいとして連なつてゐるのが次第に明かに認められてきた。
湖光島影:琵琶湖めぐり (旧字旧仮名) / 近松秋江(著)
逶迤ゐいとして眠る河
(新字旧仮名) / 高祖保(著)