蝋色鞘ろういろざや)” の例文
冷たい蝋色鞘ろういろざやの大刀を、片袖で胸へ抱き、片手で簀戸を開けた御方は、魔女か、蛇身かのように、新九郎の側へするすると寄って、その口もとへそっと手をやった。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一見を所望した侍 (受け取って)結構な蝋色鞘ろういろざやですな。失礼ながら、いい時代がついておりますて。ほ! お鍔の彫りは、替り蝶の飛び姿! いや、凝った凝った、大凝りですな。
稲生播磨守 (新字新仮名) / 林不忘(著)