おん目は赤濁あかだみ、蒼白な龍顔りゅうがんにはおぐしがみだれかかり、白絹の小袖袴もあとかたなく、泥のみならず血痕もにじませておられたと、「花園院御記はなぞのいんぎょき」には見える。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)