脣邊しんぺん)” の例文
新字:脣辺
湖の岸へ來て立つてゐる時、人の心はなごみ、靜まり、輕い柔しい微笑が脣邊しんぺんに漂ふ。霧をくゞつて來る水の忍び寄るやさしい響、私はそれを耳にして暫く默つて水面を見つめて立つてゐた。
霧の旅 (旧字旧仮名) / 吉江喬松(著)