わたくしは病床で『真書太閤記しんしょたいこうき』を通読し、つづいて『水滸伝すいこでん』、『西遊記』、『演義三国志』のような浩澣こうかんな冊子をよんだことを記憶している。
十六、七のころ (新字新仮名) / 永井荷風(著)
彼の祖父の非凡な人であったことを今ここで詳しく話すことはできないが、その一つをいえば真書太閤記しんしょたいこうき三百巻を写すに十年計画を立ててついにみごと写しおわったことがある。
非凡なる凡人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)