昔し島田は藤田東湖ふじたとうこの偽筆に時代を着けるのだといって、白髪蒼顔万死余云々はくはつそうがんばんしのようんぬんと書いた半切はんせつ唐紙とうしを、台所のへっついの上に釣るしていた事があった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)