焦点せうてん)” の例文
旧字:焦點
誤まつた焦点せうてんのなかに、心をかきみだされる事もない。すべてが、のびのびとふるまへるのは、お互ひの心の詮索せんさくが不必要なせゐだらうかとも思へた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
富岡は次々に転じてゆく焦点せうてんが、一つとして燃焼する事もなく、このおほきな社会の歯車の外にこぼれ落ちてゆく、淡い火の粉のやうな自分を感じてゐた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)