無之候これなくそうら)” の例文
「今度御光来の節は久し振りにて晩餐でも供したき心得に御座そろ寒厨かんちゅう何の珍味も無之候これなくそうらえども、せめてはトチメンボーでもと只今より心掛居候おりそろ。……」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
僕は信ずるところ、別してある才能とて無之候これなくそうらえば、ただただ学校へ出て年と流れて、卒業して世の中へ出るよりほかなく、平凡な人間はこれが悲しく候。
廃める (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)